はじめに|大人になって出会った“森見ワールド”
「読書って、難しそうだし時間もかかるし、なんだか私には向いてない」
そんなふうに思っていた私が、アラサーになって読書の楽しさに目覚めたのは、友人がすすめてくれた一冊がきっかけでした。
その本の名前は、森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』でした。
森見作品はぐわんぐわんと妄想が広がり、読んでいてワクワクする、けれどどこか懐かしい…
それから私は、すっかり“森見ワールド”の住人になりました。

森見登美彦さんってどんな作家?
森見登美彦さんは、京都大学農学部出身という異色の経歴を持つ小説家。
京都の街を舞台にしながら、そこに天狗や狸、古本市の秘密組織などを登場させて、現実と空想の境界を曖昧にしてしまう…そんな独特の世界観を描く作家です。
一人称の語り(特に“私”の口調)も特徴的で、最初は「ちょっとクセが強いな…」と思う人もいるかもしれません。
でも、そのリズム感にハマってしまうと、もう抜け出せない。
まるで京都の路地裏にある、不思議な空間へ迷い込んだような読書体験ができますよ!
私が森見作品を好きな理由3つ
森見ワールドという唯一無二の表現
森見さんの作品には「偽電気ブラン」「秘密機関」「謎の先輩」など、摩訶不思議な言葉が飛び交います。
それでいて、登場人物の心情はとても人間らしくて、くすっと笑えたり、胸がきゅっと締めつけられたり…
まるで妄想と現実のあいだを、漂いながら旅するような感覚が味わえます。
京都という“ちょっとズレた”舞台
四畳半、出町柳、先斗町…。
実在する京都の地名がたくさん出てくるのに、その描かれ方は完全に“森見登美彦さんの京都”。
観光地としての京都とは違う、どこかレトロで、陰と陽が共存するような空間。
実際に足を運んでみたくなる魅力があります。
青春のもどかしさとバカバカしさ
登場人物はたいてい大学生で、恋に夢に全力なんだけど、どこかズレている。
それでも一生懸命で、バカバカしくて、でもちょっと泣ける。
“ああ、自分にもこんな時期あったな”と懐かしくなって、読み終えると少し優しい気持ちになれるんです。
初めての人にもおススメ!森見登美彦さんの代表作5選
作品名 | あらすじ・魅力 | 読みやすさ |
夜は短し歩けよ乙女 | 黒髪の乙女に想いを寄せる“先輩”の暴走恋物語。幻想的な京都の夜が舞台。 | ★★☆☆☆ |
四畳半神話大系 | ”もしもあの時違う選択をしていたら?”の世界が何度も繰り返される構成。 | ★★★★☆ |
有頂天家族 | 京都に暮らす狸一家の騒動。天狗や人間も巻き込んだ異種族ドラマ。 | ★★☆☆☆ |
ペンギン・ハイウェイ | 少年と謎の女性が出会い、街に現れたペンギンの謎に迫る。映画化も話題。 | ★★★☆☆ |
恋文の技術 | 留学先からの手紙を通して語られる、ちょっと不器用な恋と成長の物語。 | ★★★☆☆ |
どう楽しむ?森見ワールドの歩き方
森見ワールドが刺さる人はこんな人!
- 読書にちょっと苦手意識があるけど、面白い本を探している人
- “変な人たち”が登場する話が好きな人
- 学生時代の自分を思い出したい社会人
- 京都やレトロな街並みが好きな人
- 妄想で現実逃避したい人(←これ、私です)
おわりに|ちょっとズレた世界に、ようこそ。
森見登美彦さんの小説は、もしかしたら読む人を選ぶかもしれません。
でも、ハマる人にはたまらない中毒性があるので、ぜひ体験してほしい!
「なんか面白い本、ないかな?」
そんな時は、ぜひ“森見ワールド”に足を踏み入れてみてください。
少しだけ現実を忘れて、妄想と笑いと青春に浸る旅が、あなたを待っていますよ!

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